イベントレポート「フードトラック・ハガリ」ランチ会2024年10月5日(土)

イベント会場の社屋で談笑する森夫妻

1.イベントの概要

◾️日時:2024年10月5日(土) 11:00〜16:00

◾️場所:東京高輪 オーデックス・ジャパン敷地内

◾️コンセプト

イタリア料理の惣菜、パン、デザートを販売する「フードトラック・ハガリ」をお招きして、歴史的建造物の社屋内で、グラスワインと合わせたイートインやテイクアウト、ボトルワインの販売をお楽しみいただく会

◾️フードトラック「ハガリ」とは

数々のレストランでシェフを歴任し、青山のイタリアン・レストラン「チンクエ・メッゾ」のオーナーシェフを務める葉狩洋(はがり・ひろし)さんがプロデュースと調理を手がける。

食材ロスを軽減したい葉狩洋さんの思いから、共通の食材を使った惣菜を夫人が高輪のテイクアウト専門路面店「パネッテリア・ハガリ」で、娘の澪蘭(みらん)さんが「フードトラック・ハガリ」で販売するファミリービジネスの一環です。

2.その日のメニューから

「フードトラック・ハガリ」 その日のメニューの一例

メカジキとオクラ、モロッコインゲンのドライトマトオイル和え
ライスコロッケ「アランチーニ」なかに黒トリュフリゾットとモッツァレッラチーズ入る。トマトソース添え
美桜鶏のローストチキン
チョコレートテリーヌ 生クリーム添え

3.お客さまの笑顔

イベントに来場された参加者の許諾を得て紹介するコーナーです。

佐賀県「山田酒店」山田さん親子

佐賀県「山田酒店」の山田晃史(やまだ・こうじ)さん(右)と娘の山田京香(やまだ・きょうか)さん

山田酒店は、かつては日本酒のみを販売していたが、近年はお客さまのライフスタイルの多様化にともない、洋酒も販売しているそうです。

オーデックス・ジャパンとワインの取引をはじめたのは5、6年前からだそうです。

10月5日(土)、6日(日)は、佐賀市で「第78回国民スポーツ大会」が開催される影響で店舗前の道路が交通規制されることから臨時休業。その間、親子で研修のため上京。

前日はアキバ・スクエアで開催されたウイスキーイベント「モダン・モルト・ウイスキー・マーケット2024」を視察して一泊。

翌日の10月5日(土)午前に、「フードトラック・ハガリ」ランチ会の視察とワインの試飲を兼ねて来社。

午後から長野県に移動し、1泊しながら日本酒の酒蔵を数社訪ねるそうです。

試飲で紹介されたイタリア南部シチリア県パンテレリア島にあるアブラクサス社のロゼ「RESEDA」

山田さんはオーデックスで試飲したワインのなかで、アブラクサス社のロゼ「RESEDA」が印象的だったそうで、自店のインスタグラムで「ロゼの味わいに感動、衝撃的なワイン、皆様にお届けするのが待ち遠しい」とコメントしました。

山田さんは佐賀市で酒類を販売するなかで、意識していることは「山田さんが選んだお酒」という信頼を得て、酒のセレクトショップとして認知していただくことだという。

お客さまに「山田さんのお店に行ったら、知らないうちに、買いたいと思う酒類の本数が増えていた」と思っていただくのが理想だそうだ。

山田さんが日本酒を評価する持論は、その土地の水と米を生かした美味しさ。甘い、辛い、無農薬などの付加価値が先ではない。ワインも同じだろう。

そのために、できるだけ生産現場へ行き、現場を見て、生産者と話をする。

生産者はふだん現場で生産に集中しているため、小売店が来て、お客さまの声を伝えると喜ぶそうです。こうしたコミュニケーションが、お客さまがワクワクするセールストークに役立つそうです。

なおかつ、こうした研修ツアーに、若いスタッフも連れて行き、一緒に勉強することを心がけているそうです。

森夫妻に自店のホームページを紹介する山田さん親子

高輪のご近所 石田雅章さん

夕方、フードトラックで惣菜を購入する石田雅章さん

石田雅章さんは高輪のご近所にお住まいで、イベントの常連。

近年は、お子さまが大きくなり、「パパの時間」が増えたことから、小型船舶免許を取得。

「公益社団法人 日本海洋少年団連盟」が竹芝で行う少年の海洋活動を、海上で船舶を操縦しながらサポートするボランティアを行っているそうです。

イベント会場でワインを飲みながら談笑する石田雅章さん
イベント後のスタッフ慰労会で2階から東五反田の夜景を見る葉狩澪蘭さん
イベント後のスタッフ慰労会でくつろぐ、会場の清掃を担当した力(りき)さん

4.まとめ

イベント後のスタッフ慰労会で山田酒店からいただいた海苔をワインに合わせるninoこと森俊彦

あいにくの雨のなか、イベントにお越しいただいた参加者の皆さま、誠にありがとうございました。

ネットに掲載されている酒類の情報は誰でも見られます。山田さんのように、独自に酒類の情報を集め、小売のセールストークに生かす姿勢は勉強になりました。

5.次回予告

「フードトラック・ハガリ」と運転・販売の葉狩澪蘭さん

次回、「フードトラック・ハガリ」ランチ会は、

10月12日(土)13日(日)、2日連続で開催します。

同日開かれている画家・弓指貴弘さんの個展と共催です。

社屋内でイートインご希望の方は、あらかじめご予約ください。

(監修:オーデックス・ジャパン 写真・文:ライター 織田城司)

Supervised by ODEX JAPAN  Photo & Text by George Oda

イベントレポート:コスミック・ジャンクション第3回

イベント会場の作品の前で談笑する森夫妻

オーデックス・ジャパンの森夫妻は2024年9月29日(日)、東京広尾のイタリアン・レストラン「ラ・ビスボッチャ」で開かれたイベント「コスミック・ジャンクション第3回」に参加しました。

これは、同店が予防医療クリニック「アフロード・クリニック」とコラボして、アートとレストランの掛け合わせから生まれるビックバンを楽しむイベントです。

イベントの模様をお伝えします。

1.イベントの概要

ラ・ビスボッチャのメインダイニングで開会の挨拶をするアフロード・クリニック代表 道下将太郎さん

宇宙の交流

イベントの主催者:アフロード・クリニックとラ・ビスボッチャ

イベント名・コンセプト「COSMIC JUNCTION コスミック・ジャンクション(宇宙の交流)」

会場:東京広尾 イタリアンレストラン「ラ・ビスボッチャ」

開催日時:2024年9月29日(日)

17:00 開店

18:00 コース料理一斉スタート

22:00 閉店

《運営》

ビスボッチャ店内にギャラリー数社がアート作品を持ち込み、展示・販売。

食事は着席で、各自の席にイタリアンのフルコースとフリードリンクを提供。

参加者に作品資料とコース料理のメニューリストを配布。

展示作品の撮影は可能。手で触れることは不可。

コース料理の合間に、関係者の挨拶や、ギャラリートークが盛り込まれた。

日本テレビのアート・ドキュメンタリー番組「THE ART HOUSE」の収録が行われた。

ラ・ビスボッチャのメインダイニングで談笑する森夫妻

2.会場のレイアウト

ラ・ビスボッチャのメインダイニング
ラ・ビスボッチャのメインダイニング
ラ・ビスボッチャのサローネ

3.出展作品

Banksyさんの作品
MEGさんの作品
OKUDA YUTAさんの作品
KOUHEI FUKUSHIMAさんの作品
青山夢さんの作品
青山夢さんの作品
青山夢さんの作品
青山夢さんの作品
けいすけさかいさんの作品(左)
Osteoleucoさんの作品
Osteoleucoさんの作品
BRITTANY FANNINGさんの作品
西形彩さんの作品
シゲマツ/NANTOKAさんの作品
ヤクモタロウさんの作品
ヤクモタロウさんの作品
沼田侑香さんの作品
渋田薫さんの作品
池上創さんの作品
池上創さんの作品
中村弘峰さんの作品

4.コース料理

前菜盛り合わせ。左から水ダコとジャガイモの温製サラダ、ヤリイカのフライ、ブラータチーズと黒イチジク、戻りガツオの炙りカルパッチョ レフォールソース、イタリアメロンとスペイン産イベリコ豚ベジョータの生ハム
ウニとキャビアの冷製カペッリーニ
パルミジャーノチーズのリゾット(左)タヤリンのビスボッチャ風
アイルランド産グラスフェッド・ヘアフォード牛と仔羊の炭火焼き ベジタブル・アート・ソース
ラムのティラミス
日本テレビ「THE ART HOUSE」のスタッフに撮影されたベジタブル・アート・ソースの盛り付け
コース料理に合わせるフリードリンクのワインに選ばれたオーデックス・ジャパンが納品するイタリアのマシャレッリ社のワイン

5.ケント・モリ・ダンス・パフォーマンス

道下将太郎さんに紹介されて登場し、ダンス前に挨拶するダンサーのケント・モリさん

パフォーマンスのテーマはライブ

会食とアートの商談が一段落した21時頃、道下将太郎さんから、アートの一環としてパフォーマンスを披露するゲスト、ダンサーのケント・モリさんの紹介がありました。

道下さんは、共通の友人を介してケントさんと知り合い、いまは主治医も務める関係だそうです。

道下さんは、脳神経外科医の立場から、20歳代から1000人以上の人が亡くなる現場を見てきたことから、死の対極にある生についても考えるようになったそうです。

そこで、今回のパフォーマンスのテーマを「ライブ」として、生きることの尊さを、実際に舞うパフォーマンスとして表現してくれるアーチスト、ケントさんに3日前に出演を依頼して、急遽実現したそうです。

ケント・モリさんのダンス

踊りで世界平和を祈願

ケントさんは、1985年愛知県生まれ。挨拶の自己紹介によると、マイケル・ジャクソンに憧れ、ダンスが好きになり、21歳で渡米し、マドンナの専属ダンサーになる。24歳のとき、マイケル・ジャクソンのダンサーのオーディションで選ばれるも、マドンナの専属だったことから辞退したそうです。

2024年は、アメリカン・フットボール・スーパーボールのハーフタイム・ショーで、アッシャーのダンサーを務める。マドンナの「セレブレーション・ツアー2024」の構成と振付けを担当。

その一方で、近年は母国日本の伝統文化とのコラボも多く、歌舞伎の市川團十郎の振付けや、伊勢神宮や屋久島などの神事で、奉納の舞いを披露。日本人にとっての踊りを、世界平和への祈りとして発信しています。

そんな踊りを、人々の心に、プライスレスなバリューとして残したくて生きていると語り、オリジナルで作曲した「奉納」「将軍」「マドンナとマイケル」をテーマにした3曲に合わせて踊りました。

ケント・モリさんのダンス
ケント・モリさんのダンス

踊る料理長

ケントさんは、ダンスのみならず、アメリカ仕込みらしく、巧みなトークでパフォーマンスをショーアップ。

そのなかで、ケントさんは「たまたま、ここの料理長・井上裕基さんは15年前、僕のダンス・レッスンを受けていました」という秘話を明かすと、会場は「エー!」「ホント!」「ハハハ!」など、想定外の展開にどよめく。

ケント・モリさんは、リハーサルの後、井上料理長から挨拶され、偶然の再会に驚き「レッスン生5人しかいなかったけれど、その5分の1に会えるとは!」といって、会場を笑わせる。

「裕基さん、コース料理最初のイチジクから、最後のティラミスまで最高!メチャクチャ美味しかった!」と会場の声を代弁。

続いて、当時のレッスン曲を流し、「カモン!ユウキ!カモン!」と声をかけ、会場から曲に合わせた手拍子が起こると、井上料理長が厨房から出てきて、約1分間、かつての師弟ダンスを再現しました。

ケント・モリさんとダンスを踊るラ・ビスボッチャ料理長・井上裕基

ダンス後、会場から盛大な拍手や「ブラボー!」という歓声を受け、ケントさんから「裕基さん、できないといいながら、すんなりできるじゃない」といわれると、井上料理長は「来そうな感じがあって、隠れていたけれど、ダメでしたね。ありがとうございます」と答えました。

井上料理長は小声でケントさんに「キッチンで記念撮影いいですか?」と依頼。すると、ケントさんは「みんなに聞こえているよ!」と突っ込みながら厨房に移動しました。

ケント・モリさんと記念撮影するラ・ビスボッチャの厨房スタッフ

6.絵画との出会い

道下将太郎さんから出展作品の説明を受ける森夫妻
作品を観る森夫妻

森夫妻は、18時からのコース料理がはじまる前の17時頃、イベント会場の「ラ・ビスボッチャ」を訪ね、店内の出展作品をすべて見ました。

そして、夫婦で相談し、渋田薫さん作の白ベースの抽象画の購入を決め、手続きしたい旨を道下さんに伝えました。

右の渋田薫さん作の白ベース抽象画の購入を決め、日本テレビ「THE ART HOUSE」に撮影スタッフから取材を受けるninoこと森俊彦

その後、日本テレビ「THE ART HOUSE」のスタッフから購入者としてインタビューを受け、このイベントについては「参加ははじめて。アートに興味を持ったのは最近で、案内があったから、顔を出してみようと思った」と語りました。

取材で作品を選んだ理由を語るninoこと森俊彦

作品を選んだ理由は「なんか楽しそうで、余白があり、自分自身が空想に入っていけそうに感じたから」と語りました。

開店から15分で購入を決めたが直感か?という問いに「自分の人生のなかで買ったアートはすべて直感です。まず作品が気に入って、アーチストの名前を後から知ることが多い。結果的に親しくなるアーチストもいる」と答えました。

7.まとめ

閉会の挨拶をする道下将太郎さん

人のライブの力

道下さんは、閉会の挨拶で「このイベントは、レベルの高い多次元のフュージョンがあり、毎回想像を超える盛り上がりがあります。今後も続けようと思います。一緒にイベントをつくりたい人は、面白いと思う人です。みなさんも、自分より面白いと思う人を連れてきてください」と語りました。

参加者のSNSの投稿では「参加アーティスやゲストは毎回多彩で凄い盛り上がり」「素敵なディナーとアートの刺激、本当に楽しい夜になりました。人生初!アートを買わせていただきました。最高にエネルギーをいただきました!」などのコメントがありました。

目の前で人がつくった作品を観て、目の前で人がつくる料理を味わい、目の前で人が踊る迫力を感じる。こうしたライブの連鎖から生まれる新たなエモーションの面白さ。そこに刺激を受けた参加者の熱気を体感し、元気をもらう。

テクノロジーの発達から、バーチャルでさまざまな体験が楽しめる一方で、人のライブの力が、ますます魅力的に感じるイベントでした。

参加者のなかには、アートのコレクションや投資目的ではなく、たまたまイベントに誘われ、偶然会場で出会った作品の第一印象に惹かれ、購入を決めた方もいました。

nino(森俊彦)も、そんなアートを純粋に楽しむ参加者のひとりで「自分にとって、いい絵と、いい人と出会えて、有意義なイベントだった」とコメントしました。

(監修:オーデックス・ジャパン 写真・文:ライター 織田城司)

Supervised by ODEX JAPAN  Photo & Text by George Oda

イベントレポート:イタリア郷土料理を巡る食事会「カンパーニャ料理とパネットーネ」

雑誌『イタリア好き』編集長、松本浩明さん(右)のスピーチを聞く森夫妻

オーデックス・ジャパン森夫妻は、残暑が厳しく、大リーグ大谷翔平選手の47号本塁打47盗塁達成が日本で報道された2024年9月12日(木)、雑誌『イタリア好き』主催のイタリア郷土料理を巡る食事会「カンパーニャ料理とパネットーネ」に参加しました。

これは同誌が8月に発行した58号で「パネットーネの沼」が特集された機会に、パネットーネにこだわり、30年間つくり続けている鈴木与平シェフの麻布十番のイタリアン・レストラン「ピアット スズキ」にて、名物のパネットーネと、晩夏向けに組まれた南イタリア・カンパーニャ州の郷土料理をイメージしたコース料理と、ワインを楽しむ食事会です。イベントの模様をお伝えします。

「ピアット・スズキ」が入居するビルの看板。食事会は6階の個室で行われた

1.コース料理とワイン

〈アミューズ〉

サーモンのパテの塩サブレサンド
スパークリングワイン「スプマンテ・イ・ボルボー二・ブリュット」

生産地:イタリア南部カンパーニャ州 ワイナリー:イ・ボルボー二

ブドウ種:アスプリーニオ100%

〈冷前菜〉

冷前菜の盛り合わせ 左からペペロー二のリピエノ、ヤリイカの詰め物、カプレーゼ、イワシのポルペッティ、ムール貝のワイン蒸し

〈温前菜〉

モッツァレッラ・イン・カロッツァ

馬車に乗ったモッツァレッラを意味するカンパーニャ州の伝統料理。モッツァレッラ・チーズを挟んだパンを揚げたもの。

白ワイン「フィアーノ・ディ・アヴェリーノ」

生産地:イタリア南部カンパーニャ州 ワイナリー:カンティーネ・ディ・マルツォ

ブドウ種:フィアーノ100%

自家製パンの盛り合わせ

〈プリモ〉

プロボーネチーズを使ったネラーノ風パスタ

プロボーネチーズはカンパーニャ州ナポリ発祥で、今はイタリア各地でつくられているセミハードチーズ。

ネラーノ風とは、カンパーニャ州のソレント半島のズッキーニを使った郷土パスタのこと。

今回のズッキーニは、パスタの具材に加え、揚げたズッキーニもトッピングに振りかけた。

ロゼ「ヴェテレ・ペスチュム・アリアニコ・ロザート」

生産地:イタリア南部カンパーニャ州 ワイナリー:サン・サルヴァトーレ1988

ブドウ種:アリアニコ100%

ラビオリ・ジュノベーゼ・アッラ・ナポレターナ

〈魚料理〉

アクアパッツァ

魚は甘鯛を使用。一般的なアクアパッツァは煮込むが、揚げることで独自性を出した。

〈肉料理〉

ブラチョーラ

ブラチョーラはカンパーニャ州ナポリの伝統的な肉巻き料理のこと。干し葡萄をのせて揚げたプロボーネチーズと、パンチェッタをのせたトウガンの煮物を添えた。

赤ワイン「タウラージ」

生産地:イタリア南部カンパーニャ州 ワイナリー:テヌータ・スクオット

ブドウ種:アリアニコ100%

〈ドルチェ〉

パネットーネ・クラシコ

自家製のパネットーネは、シンプルに生クリームと合わせるのが鈴木与平シェフのおすすめ。

2.パネットーネ・トーク

パネットーネを語る「ピアット・スズキ」鈴木与平シェフ(左)と松本浩明編集長

イタリアでコンテスト荒らし

食事会のなかで、松本浩明編集長は鈴木与平シェフにパネットーネの思いをたずねると、以下のように語りました。

僕はずっとパネットーネをつくり続け、このビルの7階を工場にして、パネットーネだけを焼く釜を4台設け、大量生産しています。大量といっても、1日12個だけです。

6年ほど前、日本でパネットーネをつくる人は、ほとんどいなくて、自分の位置がわからなかったため、イタリアのパネットーネ・コンテストに出ました。

ブレシア、ミラノ、ローマ、バーリ、パルマ。5つの大会に出て、すべての大会でファイナリストに選ばれました。

日本人の参加は初で、現地の新聞でサムライがパネットーネを持ってきたと報道され、そのような話題性から順位に入ったと思います。

日本に帰国した頃、日本でパネットーネ協会ができて、コンテストを行うようになりました。その影響で、日本でパネットーネを地道につくり続けている人がいることを知りました。私のなかで、美味しいパネットーネをつくる日本人は20人くらいいます。

パネットーネを語る鈴木与平シェフ

日本のパネットーネ

その後、コロナの時代に、パン屋さんがパネットーネをつくりはじめました。パン屋さんのパネットーネは僕のパネットーネとちがい、日本人が好む、フワフワ、しっとり、口のなかでとろける具合につくります。

僕のパネットーネは、それに比べると美味しくないかもしれません。なぜかというと、まずイースト菌を使いません。天然酵母だけでつくります。なおかつ、乳化剤や柔軟剤も一切入れません。

だから日持ちがしません。よくパネットーネは1ヶ月置くと美味しくなるというけれど、それはウソです。パネットーネ・コンテストでイタリアに行ったときに、現地の職人に話を聞くと、パネットーネ菌は実在しない。そして、柔らかいパネットーネはあり得ない、ということでした。

このため、僕のパネットーネの賞味期限は1週間以内です。それ以降はかたくなります。でも、天然酵母だけでつくるため、菌がしっかりして、他の菌がなかに入りにくい。だから、まわりにカビが発生しても、取り除けば、中身は、美味しいか、まずいか別にして、食べられます。そういう意味で長持ちします。

天然酵母はつくり続けないと弱くなるから、1年間、毎日つくり続けます。天然酵母はわがままで、室温を管理しても、雨季や猛暑などの気候や、つくる人の手によって状態が変わるため、常にチェックをしなければなりません。日本の水は合わないから、フランスのミネラルウォーター、コントレックスを使っています。

松本浩明編集長は、パネットーネはそれだけ手間がかかっているから高額になる。つくり手もこだわると、どんどん「沼る(ぬまる)」。沼にはまって抜け出せなくなるという意味で、それが雑誌の特集のタイトル「パネットーネの沼」の背景だと語りました。

パネットーネを語る松本浩明編集長

3.まとめ

ジャンケン大会に勝ち、鈴木与平シェフからパネットーネを贈呈される参加者

鈴木与平シェフによると、コース料理のコンセプトは、夏だからカンパーニャ州ナポリというリクエストを受け、構成したけれど、麻布十番のビルの6階であることも意識し、モダンなアレンジで仕上げたと語りました。

合わせるワインもすべてカンパーニャ州産で、麻布十番のナポリの世界観を堪能しました。

パネットーネのように、ひとつのことにこだわり、ライフワークとして続ける活動には、尊さを感じます。そこからにじみ出るものが、料理の味にも表れていると感じました。

それとともに、日本とイタリアの味や、菌の力を考える機会になった食事会でした。

(監修:オーデックス・ジャパン 写真・文:ライター 織田城司)

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ニーノの回想録「ニーノ・ヴィンテージ」連載第4回『1966年 エピソード1 休学とビートルズ』

社屋でビートルズの写真を持つニーノ

2024年9月

ニーノ(株式会社 オーデックス・ジャパン 代表取締役 森俊彦)

1966年 エピソード1 休学とビートルズ

日本ではじめて、南海トラフ地震臨時情報が発表された8月のはじめ、すぐに夫婦でメキシコに旅立ちました。

地震から避難したのではなく、以前から計画していた夏休みの旅行でした。

メキシコのオアハカ州に住む、日本人イラストレーター、フカザワ・テツヤさんを訪ねるためです。

フカザワ・テツヤさんとの出あいは、今年の春でした。

家の近所を散歩していると、北品川の画廊「gallery 201」の前で、フカザワ・テツヤさんの個展を告知する看板の絵に目がとまりました。

フカザワ・テツヤさんのことは知らなかったけれど、絵に惹かれ、なかに入り、絵を買わせていただきました。

ちょうど、帰国していたフカザワ・テツヤさんが在廊して、お話すると、メキシコのオアハカ州に住んでいることを知りました。オアハカは私も訪ねたことがあり、好きな街です。お互いビートルズが好きなこともわかりました。

意気投合して、夏休みに夫婦でオアハカを訪ねることや、冬にオーデックス・ジャパンの施設で個展を開くことが、すぐに決まりました。

夏休みになり、オアハカに行き、フカザワ・テツヤさん夫婦と食事をしながら、絵のことや、ビートルズのことを考えていると、ふと、1966年のことを思い出しました。

1966年は、ビートルズが来日した年です。武道館で公演を行い、その年を代表するニュースとして、昭和史に刻まれました。

外国人タレントの来日公演だけなら、それほど大きなニュースにはなりません。

実は、その公演をめぐり、警視庁の発表によると、日本全国で6520名もの若者が補導されたからです。

ビートルズは前年、娯楽に貢献したことで、英国王室から勲章を受賞し、すでに世界的な人気がありました。

日本公演も人気で、チケットは葉書の応募による抽選になりました。しかし、当選する確率はわずか4%でした。

チケットが入手できない大勢の若者たちは、あきらめきれず、武道館のまわりにいれば、ビートルズの姿が一目見られると思い、家出して武道館を目指し、その途中で次々と補導されたのです。

こうした状況を見て、右翼団体は、ビートルズは、日本の青少年を不良化するグループとして、街頭で公演の反対運動を起こしました。

警視庁は混乱を避けるために、武道館やホテルのまわりを2000人もの警官で厳重に警備し、戒厳令下のようになりました。

過剰な警備は、今後起こると想定された、若者の大規模な騒乱を鎮圧するための予行演習という噂も流れました。

ビートルズの滞在は6月29日から7月3日までの5日間。ホテルからの外出は、武道館公演の往復のみ。私用外出は禁止になり、関係者との歓迎会もすべてキャンセルになりました。

社屋でビートルズの思いを語るニーノ

なぜ、このような狂騒に発展したのでしょうか。

当時の日本経済は、高度成長を成し遂げながら、庶民の暮らしは、決して豊かではありませんでした。安保問題やベトナム戦争など、政治不安もあり、デモやストライキなどの社会運動が頻繁に起きていました。

若者はビートルズに、音楽だけでなく、暗い世相を払拭する明るさを見出し、すがるような思いで殺到したのでしょう。

私も同じ気持ちでした。当時の日本人の人生は暗く、抑圧を感じていました。歌謡曲も暗い歌が多かった。

そんな世の中に反発する、ビートルズというサブカルチャーに、大いに共感しました。

でも、武道館に行きませんでした。なぜなら、私は6月6日から、ヨーロッパへ旅立ち、日本にいなかったからです。

東京外語大学に在学中、3年生の過程が終わると、海外の見聞を広めるために、1966年4月、4年生の春から1年間休学していました。

ビートルズがいた東京に、自分がいなかった無念と、暗い日本から抜け出した喜びが交じり、複雑な気持ちでした。行動の背景に、世の中の動きが影響することを感じました。

いまは、自分のリラックス度も、行動に影響すると感じています。心がおだやかだと、美しいものが目につき、料理やワインも美味しく感じます。

その一方で、落ち着かず、イライラしていると、何をやってもうまくいかない。

気に入った絵との出合いや、新しい人と交流がはじまるときは、たいてい、心がおだやかなときです。

(監修:オーデックス・ジャパン 写真・文:ライター 織田城司)

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イベントレポート「フードトラック・ハガリ」ランチ会2024年9月7日(土)

イベント会場でワインを飲むニーノ(代表取締役 森俊彦)

残暑がきびしく、パリ・パラリンピックと次期総裁選のニュースが連日放送される9月7日(土)、恒例の「フードトラック・ハガリ」ランチ会を開催しました。イベントの模様をお伝えします。

1.イベントの概要

オーデックス・ジャパンの敷地に、本格イタリアンの料理を販売する「フードトラック・ハガリ」をお招きするイベントです。

11時から16時の時間帯に、社屋のなかで、各自がトラックで購入した料理に、オーデックス・ジャパンがおすすめするグラスワインを合わせたイートインや、テイクアウトのサービスがお楽しみいただけます。

また、ボトルワインの販売や配送手配も承ります。

歴史的建造物の社屋は、モダンでありながら木材を多用し、アートと懐かしさを感じる飽きない居心地です。

東京なのに、まるで高原の美術館やペンションに来たようなリラックス感のなかで、会食やお買い物をお楽しみいただきました。

イベント会場でお客さまの談話を聞く葉狩澪蘭さん

2.葉狩ファミリーのイタリアン・フード・ビジネス

「フードトラック・ハガリ」は数々のレストランでシェフを歴任し、青山の高級イタリアンレストラン「チンクエ・メッゾ」のオーナーシェフ葉狩洋(はがり・ひろし)がプロデュースするフードビジネスのひとつです。

葉狩洋さんは、レストランのフードロスを最小限にするため、夫人が販売する高輪のテイクアウト専門店「パネッテリア・ハガリ」と、娘の澪蘭(みらん)さんが運転・販売する「フードトラック・ハガリ」によるファミリービジネスで食材を共有しています。

このため、フードトラックで販売する料理(惣菜、パン、お菓子)も、本格イタリアンに特化しています。

ところが、イベント直前、フードトラックの故障が発覚。オーデックス・ジャパンの社屋まで来られなくなりました。すでに予約されたお客さまが社屋に向かっているタイミングで中止にできません。

そこで、葉狩洋さんが自家用車で料理を社屋まで運搬。足りない料理をスタッフが「パネッテリア・ハガリ」まで買い足しに行き、お客さまに状況のご理解とご協力をいただきながら、イベントを敢行しました。

3.「パネッテリア・ハガリ」の店内と惣菜

港区高輪2丁目にある「パネッテリア・ハガリ」の店内。向かいの赤いストライプのテントは豆大福が有名な大正7年創業の老舗和菓子店「松島屋」。左の樹木は高輪皇族邸
「パネッテリア・ハガリ」店内
「バネッテリア・ハガリ」店内

イベント会場では、「パネッテリア・ハガリ」から持ち込んだ冷菜、ライスコロッケ、エビとペンネのグラタン、ローストチキン、鶏モモ肉のマスタードクリーム煮込みなどを販売しました。

冷菜「海老とマコモダケのピリ辛ガーリック和え」
冷菜「タコと彩り野菜のマセドニアンサラダ」
冷菜「ヒヨコ豆のカレー風味サラダ」
冷菜「豚タン塩&マッシュルーム ネギレモンソース」
定番のライスコロッケ「アランチーニ」の盛り付け例
アランチーニの断面。リゾット米のなかにモッツァレラチーズと黒トリュフが混ざる

4.お客さまの笑顔

イベントに参加され、掲載の許諾をいただいたお客さまを紹介するコーナーです。

【高輪のご近所 石田雅章さん】

イベント会場でワインを飲みながら語る石田雅章さん

石田雅章(いしだ・まさあき)さんは、六本木にある株式会社SBI証券でITのシステムを手がけています。

オーデックス・ジャパンの近所に住み、ニーノと知り合ったのは約7年前。フードトラック・イベントにコンスタントに参加するのみならず、ニーノ夫妻とは日常的なお付き合いがあり、社屋の窓を洗浄したり、ニーノ夫妻の海外出張時は、庭の植木に水をやるそうです。

ニーノ夫妻を誘ってイベントに行くことも多く、8月末は、イタリアの帆船「アメリゴ・ヴェスプッチ」号が東京国際クルーズターミナルに寄港した時に開催されたイベントに同行しました。

森夫妻はお盆休みにメキシコのオアハカ市に在住の日本人イラストレーター、フカザワ・テツヤさんを訪ねる。帰国後フカザワさんから送られてきたフォトアルバムを葉狩澪蘭さんと石田雅章さんに紹介する

【フラダンス教室のグループ】

フラダンス教室のグループ

森久美がフラダンス教室の講師をしていた頃の生徒さんがイベントに参加しました。

生徒さんのみならず、家族を連れてイベントに参加する方もいました。

【サナトリウムのグループ】

山田法子さん(右)が率いるサナトリウムやテニス仲間のグループ

山田法子さんは現在、泉岳寺で不動産情報を発信する編集者としてご活躍。

ニーノ夫妻が通う、健康ソムリエ・石原新菜さんが副院長を務める伊豆半島の伊東市にある温泉断食道場「ヒポクラティス・サナトリウム」で知り合ったそうです。

また、昨年12月10日(日)は、ニーノ夫妻と一緒にホノルル・フルマラソンに初参加。特に山田法子さんと森久美は、人生初のフルマラソン挑戦して完走を果たしました。

山田法子さんは、今年12月8日(日)のホノルル・フルマラソンに森夫妻とテニス仲間と一緒に参加予定です。

2023年12月10日(日)ホノルル・フルマラソンで完走し、メダルを授与された森夫妻と山田法子さん(写真提供・森久美)

山田法子さんは、今回のフードトラックイベントに、サナトリウムやテニスの仲間を誘って参加しました。

昨年のホノルル・フルマラソンで山田法子さんと森久美は、前日飲みすぎて、二日酔いで不調。それでも、スポーツドリンクを飲みながら、何とかフルマラソンを完走したそうです。

ゴールにいた見知らぬ観客が、ニーノの姿を見て「グッド・ジョブ!グッド・ジョブ!」と声をかけてくれたことがうれしくて、森久美が「今、思い出しても泣いちゃう」と語ると、山田法子さんも「もらい泣きしちゃう」と答えました。

5.まとめ

イベント会場の社屋でお客さまの談話を聞くニーノ

残暑厳しいなか、お集まりいただいた参加者のみなさま、誠にありがとうございました。

設備の不具合で、十分なサービスができず、誠に申し訳ありませんでした。

みなさまのご協力のおかげで、無事にイベントを終了することができました。

イベント会場で提供されたフランス赤ワイン「トゥルサン・タイ・ルージュ」を飲むニーノ

また、イベントのグラスワインとして提供されたフランス赤ワイン「トゥルサン・タイ・ルージュ」が美味しいと評判で、ボトル1本¥1,500、12本¥15,000の特別プライス(2024年9月現在、在庫がなくなり次第終了)も好評で、多くの参加者からご注文をいただきました。重ねて御礼申し上げます。

ひとりで参加された石田雅章さんは、途中からサナトリウムのグループと合流。グループの女性が、ホームステイの外国人学生が来日中で、日本を知るイベントに連れて行きたい、と語ると、石田さんは精通しているイベント情報を紹介。合流から生まれた情報交換が役に立ったようです。

参加者はほとんどシックなカラーの服装でしたが、森夫妻はお盆休みのメキシコ旅行で仕入れたカラフルな服装でもてなし、ポジティブなエネルギーを感じました。

小さなお子さまは、親と一緒に帰宅するとき、惜別から「帰りたくない」と泣く姿も見られました。

ニーノが提唱する「いい気」は、子どもにも伝わるのかもしれません。

その泣き声は、夏の終わりを惜しむ、大人たちの心に響きました。

イベント会場でお客さまと語る森久美
お客さまを見送る葉狩澪蘭さん
イベント終了後、スタッフ慰労会でワインを飲む、テーブルサービスと庭の手入れを担当した力(りき)さん

6.次回予告

オーデックス・ジャパンの社屋とウッドデッキ

次回の「フードトラック・ハガリ」ランチ会は、

10月5日(土)11時から16時まで開催します。

社屋でイートインをご希望のお客さまは、お席の確保の都合で、あらかじめご予約ください。

なお、9月21日(土)はオーデックス・ジャパンのイタリアツアーの都合で、ランチ会はお休みさせていただきます。あらかじめご了承ください。

10月のランチ会は、10月5日(土)、12日(土)、19日(土)の3回開催する予定です。

弓指貴弘さんの個展のビジュアル

また、10月12日(土)から10月14日(月)まで、オーデックス・ジャパンの施設内で、画家、弓指貴弘(ゆみさし・たかひろ)さんの個展を開催します。

10月12日(土)は、「フードトラック・ハガリ」ランチ会と個展の同時開催になります。

引き続き、よろしくお願いします。

(監修:オーデックス・ジャパン 写真・文:ライター 織田城司)

Supervised by ODEX JAPAN  Photo & Text by George Oda