バスクの貴公子テルモ・ロドリゲス

テルモは、リオハの名門ワイナリー「レメリュリ」を所有する一家に生まれましたが、ワイン造りをめぐって父と衝突、実家を飛び出して、スペイン中の生産地を発掘する旅に出ました。1990年代当時、スペインでは、フランス系の国際品種への改植が活発に行われていました。この国が本来持つ固有品種とワイン栽培の文化と歴史を復興させるため、テルモは地元の古木が植わる優れた畑を発掘し、理想とするワイン造りに着手します。

「スペインのワイン造りの原点に立ち戻る」という彼の信念は次第に注目を集め、今では最も成功した生産者として「スペインで一番有名になった男」と呼ばれるまでになりました。

最後に彼は故郷に戻り、2009年にリオハで自らのワイナリー「Bodegas Lanzaga」を建設。2010年には実家のレメリュリにも復帰しました。今やスペインワインを代表する存在となったテルモが、故郷のリオハで次にどんなワインを生み出すのか。彼の理念、彼の行動は今世界中から注目を浴びています。

2020年6月下旬ランシエゴ村(リオハ)のぶどう畑から届けてくれたビデオレター
ランシエゴ村(リオハ)にあるテルモのワイナリー、ボデガ・ランザガ

テルモ・ロドリゲスとodex

 odexは1972年の設立から40年以上もヨーロッパのワインを日本に紹介してきました。その間ずっとこだわってきたのは「コストパフォーマンス」。おいしくてやさしいワインを日々楽しんでもらえるようなライフスタイルを目指すodexが選ぶワインはコストパフォーマンスのよいワイン。国際品種ではなく、その土地に古くからある固有品種だから。世界的に名の知れた有名産地ではなく、伝統的なワイン造りの文化と歴史のある今まさに有名になろうとしている産地だから。そして若くして世界的な成功をおさめながらも、容易に値上げをしない良心的な生産者だから。こそコストパフォーマンスのよいワインを造ることができると考えています。

 実はodexは1990年代の始めまではボルドーの古酒のインポーターとして知られていました。主に扱っていたのは1960年代から1970年代のコストパフォーマンスのよいプティミレジム。蔵出しのものを買っていたので今では信じられないような低価格で一流シャトーのワインが買えました。ちょうどソムリエという存在が日本においても広く知られるようになった頃、日本を代表するようなソムリエたちとともに度々ボルドーを訪れました。そのお礼としてボルドーからもいろい ろなシャトーからプロモーションに来日してくれましたが、その中の一人、シャトー・コス・デストゥルネルのジャン・ギョーム・プラッツに当時まだ無名だったテルモを紹介してもらいました。

  時を同じくして「これから絶対に有名になる生産者だから」とワインの専門誌、ヴィノテーク誌から紹介してもらったのもテルモ。早速にスペインへテルモに会いに行きました。テルモと一緒に車に乗ってスペイン中を回り、リベラ・デル・デュエロやプリオラートなどこれから有名になる産地を訪れて、テルモを始めいろいろな生産者のワインを輸入し始めましたが、テルモ以外の生産者はみんな世界的に注目を集めると同時に価格を上げてしまい、やむなく付き合いをやめざるをえませんでした。そのような中でもテルモはいくら有名になってもワインの価格をあげることがありません。ワインも人も常に自然体で無理がありません。今日では有機やビオが注目を集めています。テルモのワインは有機やビオだと自ら宣伝することはありませんが、以前から全て自然体で無理のない有機やビオなのです。リオハでは多くのワイナリーの建物自身が自己主張し、自然な景観を損ねていますが、テルモのワイナリーは自然にとけ込むようなひっそりとした佇まい。外壁には廃材となったオーク樽を再利用しています。このワイナリーを見ればいかにテルモが自然体で無理のないかを物語ってくれます。

 真のコストパフォーマンスを追い求めるodexとテルモの絆は深く、2012年にはodexが発売を開始した「おいしくてやさしい、コストパフォーマンスのよい2100円までのワイン」というodexのコンセプトを具現化した4つのオリジナルワイン、Waの和飲にもルエダの白ワインwabisambaとリオハの赤ワインwassanovaの2つを造ることでコラボレーションをしています。