Sicily
イタリアのつま先近くに浮かぶ、三角形の島。映画ゴッドファーザーの舞台としても有名な、シチリア島です。
ぶどう栽培面積は14万ha以上と全農作物作付面積の17.5%にも及び、イタリアで最もぶどうの栽培が盛んな地域です。2000年に75%を占めた白ぶどう品種は2012年には66%に減少し、代わりに近年Nero d’Avolaの栽培面積が増えつつあります。モルガンテがあるアグリジェントで最も栽培されているのはカタラットという品種で、全体の3割強を占めています。
Morgante
モルガンテ・ワイナリーは、美しい田舎町グロッテの南に位置するアグリジェントという硫黄山で有名な土地に誕生しました。彼らは五世代以上続くぶどう栽培農家でしたが、1989年、アントニオ・モルガンテは彼の息子であるカルメロとジョヴァンニの支えを得て、蓄積された知識を生かして家族の夢を実現させるプロジェクトを始めたのです。今までモルガンテ一家が栽培してきたネロ・ダヴォラ(シチリアにおける唯一重要な赤ぶどうの土着品種)で最高評価を得よう、という強い思いからのことでした。さらに、1997年にリカルド・コタレッラがエノロゴとしてワイナリーに加わったことで、モルガンテのぶどう栽培経験と醸造技術は格段に向上しました。1997年が恵まれない年だったため、初ヴィンテージは1998年。その1998のドン・アントニオでガンベロロッソのトレッビッキエリを獲得しました。
丘や小さい谷が連なった地形のため標高は変化に富んでおり、彼らの所有する畑は海抜350-550mにあります。総面積は約200haです。いろんな場所に散らばった小さな畑を多く所有していて、そこにはぶどう以外にも穀物やオリーブの樹、アーモンドの木なども植えられています。土壌は泥質からカルシウムを含んだものまで変化に富んでおり、典型的な地中海気候で昼夜の気温差は平均約10-15度あるので、ぶどう栽培に理想的な環境だと言えます。
Nero d’Avola
ネロ・ダヴォラはその生産量のほとんどがシリチアで育てられており、通常別名「カラブレーゼ」と呼ばれている赤ぶどう品種です。ギリシャのカラウリアという島の名前から「カラルヴィジ」と呼ばれたいたぶどうで、ギリシャ植民地時代にシチリアで栽培されるようになりました。
葉と房のサイズは中~大、ぶどうの粒は約14.6mmとミディアムサイズで楕円形状をしています。果皮はグレーがかった青色で薄いですが硬く、反対に果肉は柔らかく無色で甘みとかすかな苦味があります。
夏の湿度ですぐにオイディウムの発生する難しい品種なので、栽培に最も適しているのはアグリジェントからグロッテなどの島南部、もしくはシラクーサのあたりの一部と言われています。モルガンテのあるグロッテでは、海からはアフリカから来るシロッコ風、山からは冷涼な風が降りてくるために常に空気が爽やかなものになります。また、この品種が好む石灰質土壌やカルシウムを含む泥質土壌で構成されており、まさにネロ・ダヴォラのための土地なのです。