SPAIN
“スペインで一番有名になった男”
テルモ・ロドリゲス
テルモはリオハの名門ワイナリー「レメリュリ」を所有する一家に生まれましたが、ワイン造りを巡って父と衝突、実家を飛び出して、スペイン中の生産地を発掘する旅に出ました。1990年代当時のスペインではフランス系の国際品種への改植が活発に行われていました。この国が本来持つ固有品種とワイン栽培の文化と歴史を復興させるため、テルモは地元の古木が植わる優れた畑を発掘し、自らが理想とするワイン造りに着手。「スペインのワイン造りの原点に立ち戻る」という彼の信念は次第に注目を集め、今では最も成功した生産者「スペインで一番有名になった男」と呼ばれるまでになりました。
D.O.ラ・マンチャの名トリオ
マス・ケ・ビノス
ボデガス・マス・ケ・ビノス(別名エルカビオ)は、マルガリータとゴンサーロの夫婦と、アレハンドラという友人同士が1851年からあった古い家族経営のワイナリーを買い取り、修復したところから始まりました。3人はワイン造りに使用する材質などにもこだわり、マロラクティック発酵には昔から使われてきたアンフォラ(土壺)を修復して用いるなど、現代的な技術と伝統的手法の回帰を見事に調和させています。彼らのワイナリーは、30,000平方キロメートル以上あるスペイン最大のD.O.ラ・マンチャ、熱く不毛の平野であるマドリードから南に約60キロのカスティーリャの大地に位置しています。
古代ロマンは地中海バレンシアにあり
セイエル・デル・ロウラ
バレンシア南西部、地中海から50km内陸に入ったモイセンの標高550mの丘陵地に位置するワイナリー、celler del roure(セイエル・デル・ロウラ)。1996年に設立、50haの自社畑を所有する家族経営のワイナリー。オーナーはパブロ・カラタユー。研究の末、絶滅しかけていたバレンシアの古代品種マンドーを、17世紀頃の古い地下セラーのアンフォラ(土壺)で熟成させることで、その個性を最大限に引き出すことに成功。バリック熟成では表現できないフレッシュさやエレガンス、地中海古来の味。ドイツ、イギリス、アメリカからも高い評価を得、バレンシアが新たに注目を浴びています。
著名なエスペルト、エンポルダの古木から
バレタ(エスペルト)
バレタは、エルブジやサンパウといったスペインの名だたるレストランのオンリスト・ワインとして著名なエスペルトが、D.O.エンポルダの環境で育つ様々な品種から、その土地の個性を見事に表現する本物のワインを造ることを目的として設立した全く新しいプロジェクトです。バレタが所有するぶどうの樹齢は総じて高く、なんと1905年にセラ・ダルベラ自然公園に植えられた古木まであります。エンポルダというぶどう造りに理想的な環境、その地に古くから伝わる固有のぶどうの樹、そしてその魅力を知り尽くしたワイナリーのワイン造り。バレタは、それらの要素がぎっしり詰まったワインです。
芸術とワインの生涯に一度だけの共演
ボデガ・マタドール
『MATADOR』はスペインで1995年に創刊された、エグゼクティブクラスや意識の高いライフスタイルを求める人々を対象として、アルファベット順に年に一度だけ発行されるメンバー制のアート・マガジンです。同誌は絵画や写真、音楽などスペインで見いだし得る最高の芸術と文化を世界に向けて発信することを目的としており、毎年異なるテーマに沿って創られています。テルモ・ロドリゲスは1999年より同誌の依頼を受け「著名な現代アーティストがラベルを描き、それに合わせて選ばれた造り手が特別なワインを生涯に一度だけ造る」というプロジェクトを毎年監修。生産者はその年のスペインワインを代表するにふさわしい人物が選ばれ、ワインにはラベルの芸術家の名がつけられます。世界中の愛好者が心待ちにしている、生涯に一度だけしか手に入らない特別なコレクターズワイン。